追憶の調べ【前編】(オリジナル作品)128和音着メロ[MA-7] | |
着メロ情報 | 投稿:風狼 (2011/04) |
出典:オリジナル作品 | |
メロコード:205149 | |
投稿者コメント | 鳳花さんとの企画コラボです。 曲とストーリーを連動させようという企画で、この後から始まるストーリーを鳳花さんと合作しています。 では鳳花×風狼渾身の企画、是非お楽しみください! それでは風狼執筆の前編スタートです。 あの夏の日が『思い出』になるなんて…… 思いもしなかったなぁ…… 『追憶の調べ』 「海に行く?」 「ああ、お前もどうだ?白。グラマラスなお姉様達を見放題だぜ!見放題だぜ!」 「大事なこと以外は2回繰り返すんじゃねぇってあれほど言っただろ」 「大事なことだろーがよ!海にグラマラスな女性がなかったら何が残るんだ!」 幼なじみのテンションについていけずこめかみを抑えているのは手島 白。その白を海に誘い水着の女性に胸を膨らませているのが瀧 律乃だ。 「面子は?」 「俺とお前と涼音」 「涼音?」 「不満か?」 「いや……そんなことないけど」 白に不意に突き付けられたのはもう1人の幼なじみである、山桐 涼音の名。距離が近すぎて諦めた人の名。幼なじみ以上には進めないのだと彼女の態度が物語っていると白は思っていた。 「じゃあ決まりだな。現地集合な!」 「おい待てそこの馬鹿。日時と場所を教えやがれ」 手をひらひらと振って詳細も教えず教室を去って行こうとする痴れ者を引っ張り戻した金曜の午後だった。 そして、その明後日の日曜、白は熱を帯びた砂浜の上に立っていた。無論急に告げられた「明後日」の予定は白を水着等の準備に奔走させるに充分であった。 「おっそ……」 それでも真面目な彼は文句1つ言わずに太陽の下で2人を待っていた。ただ、あのマイペースな2人が揃うと白はいつも待たされることになるのだ。 「わーりぃ!チャリで来たら遅れちまった!」 「ばーか!こんな遠路をチャリで来たら30分遅刻も当たり前だ、ばーか!律乃ちゃんって呼ぶぞ、ばーか!」 「名前のことは言うんじゃねぇぇぇ!」 律乃は「女っぽい名前だろ?」と自分の名前を嫌っている。白は遅刻の仕返しとばかりに急所を突いて親友を罵った。 「まあ走ってくるだけお前はマシだ、律乃」 白はまたこめかみを抑えると律乃と一緒に海岸に来て、その後ろをマイペースにとろとろ歩いてくる涼音に怒声を飛ばす。 「全く遅刻を反省してねーだろ!涼音!」 「あ、白ちゃんだ。おはよー、早いね」 「お前らが遅いんだよ!」 「ね、泳ご?早く行こーよ!」 怒られているのに白に笑顔を飛ばす。この笑顔を見せられると何も言えなくなってしまうのが白にとってはいつものことだった。呆気なく自分より一回り身長が低い少女が海へ駆けていく様を見送ると、もう1人の説教対象者がポンと肩を叩く。 「1ラウンド、テクニカルノックアウト」 それだけ告げると律乃も涼音の後を追い掛けて行く。 「待ちやがれ!律乃ちゃんコノヤロー!」 「うっせ!その名前で呼ぶんじゃねぇって言ったろ!」 「ねー2人共!夜は花火やろうね!」 青空の下、本当に楽しそうな声だけが海辺に響いていた。 「今日の夜は月が綺麗なんだって!」 そう言って楽しそうに笑う涼音の笑顔を、白は今でも忘れない。 本当に月が綺麗な……綺麗過ぎた夜だったと、後に白は思い返すのだ。 前編 完 必ず感想へのお返事はいたします☆何でもお気軽にどうぞ 曲を聴いてくださる皆様に感謝 |
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